わすれもの

日常系オリジナル小説です

第五話 夢

バスは深い霧の中を走っている。

 

左隣にはユウが、右隣にはリンがいる。

 

「*******! *****、*******?」

 

ユウが話しかけてくる。声は聞こえるのに聞き取れない。

 

「********」

リンの声。聞き取れない。

 

「あ、あはは」

乾いた笑いが漏れる。

怪訝な顔をする二人。

 

「***?」

 

「*********」

 

「******!」「****」「*********?」「********」「*?」

「**********」「********」「***?」「*******!」「********?!?」

「****!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」「*????????????????」「********!???!?!?!!??」

「???????????????????!!!!!!!!!!!!!*********!!!!!!!!!」「*!!!!!!!********_????????/!"#1%$」

「>#!"$%"#$%!"#"#」

 

動悸がする。

空が暗く、明るく、目まぐるしく移り変わる。

頭を抱え、目を閉じる。声にならない叫びをあげる。

 

...

 

...

 

...

 

再び目を開けたとき、車内には私しかいなかった。

 

霧の中を私だけを乗せたバスが進んでゆく。

 

私だけ。

 

この世界には私一人しかいない。

 

そう理解した瞬間、猛烈な恐怖を感じる。

 

力の限り窓を叩く。

 

ガラスが割れたって良い。破片なんてどうでもいい。

 

なにがどうなったっていいから、とにかくこのバスから出たい。

 

でも、どれだけ必死で叩いても、

 

バスはびくともしなかった。

 

シートに横たわる。勝手に涙が流れてくる。

 

...

 

...

 

突然、私だけが乗るバスを強い揺れが襲う。

 

地震

 

違う。そんな程度のものではない。

 

世界の終わり?

 

バスは白い光に包まれ、意識に加速感を覚える。

 

声。

 

 

 

 

「・・・さん!」

 

 

 

声が聞こえる。

 

 

 

「古城戸さん!」

 

 

 

 

私の名前を呼んでいる。

 

 

 

 

 

「そんなところで寝ていたら風邪ひいちゃいますよ、古城戸さん!

 

肩を揺さぶられながら、私は目を覚ました。