わすれもの

日常系オリジナル小説です

第六話 暗い部屋

古城戸ミズキの部屋。

 

暗い。

 

比較的整っているが、掃除が行き届いているというよりはまだ散らかっていないだけという雰囲気。

 

当然だろう。古城戸ミズキがこの部屋で暮らし始めてからまだ一年経っていないらしいから。

 

ゴミなどもない。旅行前日にゴミ出しをしたからだろう。

たかだか三日の旅行なのにしっかりしている。

 

結果的に四十日ほど部屋を開けることになったことを考えると大正解だったわけだが。

 

居間の扉を開ける。

 

暗い。

 

部屋の中央に倒れている人間。古城戸ミズキ。

 

死んでいるように見え、あせる。

 

耳を澄ます。

 

さすがにそんなことはなかった。息をしている。

 

大方、部屋に着いた途端に力が抜けて寝てしまったのだろう。

 

綺麗に畳まれたふとんを敷く。

 

古城戸さん、起きてください。ほらふとん出しましたよ」

 

反応なし。寝ている。

 

仕方ないな・・・。

 

肩をゆすって声をかける。

 

「そんなところで寝ていたら風邪ひいちゃいますよ、古城戸さん!

 

そしてゆっくりと古城戸ミズキは目を開いた。