わすれもの

日常系オリジナル小説です

限界世界少女 第1話『いないんだから。』

「それで・・・その、『原因』が何かは聞いたわけ?」

なずな。幼稚園の頃からの友だち。

 

「うぅん。ママ『わかんない』ばっか」

首を左右に振るわたし。

 

フリータイム。

入室から二時間、小休憩。

 

「だよね、いい加減なことばっかいってはぐらかして。子どもだから教えられないっての?」

「でも実際、子どもだし」

デンモクを操作する。

歌う曲を探しているわけでは無かった。

なんとなく、なずなの顔を見ることができなかった。

「そうだけどさあ!そうだけど・・・」

テーブルの上のコーラを勢いよく飲み干す。

「それでも、あたしらには知る権利」

コップを叩きつけるように置き、吐き捨てる。

「あると思うんだけど!」

「落ち着いてよ・・・」

「だってさ・・・!」

「それはきっと!」

意識して強めの声を出す。

「・・・それはきっと、大人たちのやさしさだから」

 

「・・・そうだな」

 

「知るべきじゃないことは、知らない方がいいんだよきっと」

 

本心じゃなかった。

本当はなずなと同じ気持ちだった。

思っていることを言うのが苦手なわたしにとって、

なずなはいつもわたしの心を代弁してくれる存在だった。

 

わたしとなずなとせりちゃんは幼稚園の頃からずっと一緒だった。

小学生になってもずっと一緒に遊んでいた。

せりちゃんは昔から頭がよくって、だから中学受験をするって聞いたときはわたしは驚かなかった。

なずなは最初は怒ってたっけ。「中学が別になったっていつでも遊べるでしょ」ってなんとか宥めすかした記憶がある。

結局、中学に入ってからわたしたち三人が揃うことはなかった。

今になって、せりちゃんともっと遊んでおけばとか考えてしまうが、そんなのは無意味だ。

だって、せりちゃんはもう、